売れるお弁当の共通点 レシピ開発の視点と店舗の視点から解説

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ソトメグロ弁当

売れるお弁当の共通点

レシピ開発のプロフェッショナルの視点と、お弁当屋さんを営業している視点から「売れるお弁当の共通点」をまとめてみました。(本記事で言及するお弁当屋さんからはチェーン店をのぞいています。)

人気のお弁当屋さんの特徴の共通項としては「素材から調理をしているおかずがある」という点があります。加工品を使う量を極力少なくしているか、メインについては加工品を使わないような工夫をされている店舗が、人気の店舗の共通項です。

ソトメグロ弁当が連日完売する理由は「全て手作り」

ソトメグロ弁当

私たちも毎週土曜日だけですが、ソトメグロ弁当というお弁当屋さんを営業しています。

お陰様で連日完売し、秋元康さんのラジオ番組、「いいこと聴いた」でも取り上げられました
「宝の山」「全部美味しい」というコメントをいただき、収録に参加したオーナーも感動しました。
私たちがお弁当作りで大事にしていること、それは「おかずでは主たる加工品を使わず、食材のコンディションや気候に合わせて調整している」ことです。

ソトメグロ弁当

レシピ開発を通して、加工品のレシピ開発を数多く手掛けてるため、加工品の素晴らしさについてを最も理解している一人と自負しています。

日本の加工品は完成度が非常に高く、その一品でメインになれる強さがあります。メインになれる強さがあることから、組み合わせる際に互いに個性が強く、お弁当箱の中でうまくまとめるのが難しいのです。

私がもっと力量があれば加工品の組み合わせの最適解を導き出せるかもしれませんが、現時点ではこの力を持ち合わせていません。

そのため、ソトメグロ弁当では加工品を使わずに1つ1つ素材から手作りするという選択肢を取っています。結果的にはこの「加工品を使わない」という選択が他のお弁当との差別化になり連日完売に繋がっているかもしれません。

レシピ開発の視点 販売チャネルごとに異なるお弁当の作り方の特徴

レシピ開発を数多く手掛けているのですが、お弁当のレシピ開発も数多く携わっています。私たちがレシピ開発する際に留意していることはいくつかあるのですが、検討の最初に気を付けること、それは販路です。

いずれの販路でも「おいしく食べてもらう」という点は変わりませんが、考慮する点が異なります。
販売チャネルごとにまとめてみました。

1. コンビニのお弁当

コンビニのお弁当は現代の日本の食の叡智の結集と言えるような、日本の誇る技術の塊です。特徴は以下3点ですが、一番大きな特徴は「温度変化に耐えられるレシピを作ること」です。

  • POSデータなどを活用してメニューを作る。
  • どこで食べても同じような味わいである必要がある。(安定感)
  • 温度変化に耐えられる加工品を使う。
    →工場で作ってから店舗までは冷蔵で配送し、店頭でも冷蔵、購入後に電子レンジで温めて食べることを考慮して作る。

2. 惣菜コーナーなど、チェーン展開している業態のお弁当

惣菜コーナーの充実は年々高まっています。デパ地下と呼ばれるデパートの地下のみならず、スーパーの惣菜コーナーの充実も日本の豊かな食文化を支える特徴です。特徴は以下4点ですが、一番大きな特徴は「誰が調理してもぶれない味のレシピを作ること」です。

  • POSデータなどを活用してメニューを作る。
  • どこで食べても同じような味わいである必要がある。(安定感)
  • 工場で作って持ってくるケースもある。(コンビニのお弁当と同じような製造工場のケースもある)
  • アルバイトの方が初日から間違いなく調理できるよう、加工品をベースに簡易なレシピでメニューを作る。

3. 外食店(個店)のお弁当

コロナ禍の際に増えたテイクアウト需要であったり、フードデリバリーのサービスの進化もあり外食店からのお弁当の参入も増えています。特徴は店舗によってそれぞれ異なりますが、お弁当を食べる方の「お店の味を楽しめること」という期待値に応えるお弁当を作る必要があります。売れるお弁当とお弁当の差が激しいのも外食店のお弁当です。

  • 店舗で提供しているメニューをベースにお弁当を作る。

外食店のお弁当が一番難しい

レシピ開発の視点では、外食店がお弁当を作ることが一番難しいです。その理由として、

  • 外食店はその場で食べてもらうことを前提としたメニュー
    →温かい状態で食べてもらう前提でのレシピとしてメニューを組み立てている
  • お弁当は冷めて食べてもらうケースも発生し、店舗と異なる状態になる。
  • 冷めた際に再加熱すると食材のコンディションが変わる(分離したり、崩れたりする)

このように、同じメニューであっても、食べるシーンが異なるため、外食店がお弁当を作ることは難しいのです。
外食店がお弁当を作る際には食べてもらう際にどういった状態になるかという点を考慮しながら組み立てる必要があります。

食べてもらう状況を想像しながら販売時間を絞る(ソトメグロ弁当の事例)

ソトメグロ弁当ではいくつかお弁当を販売していますが、ラジオでも人気だったソトメグロ和弁当は夕方のみの販売としました。これは店頭で伺うお客様からのコメントで「夜食べたい」という声が多かったからです。
お客様の中にはお昼に購入されて冷蔵庫に入れて夜食べられる方もいらっしゃることがわかりました。

私たちのお弁当は加工品を使っておらず、冷蔵から温めといったシーンでは食べていただきたいコンディションを担保することができないため、お昼の販売をやめて、夜食べてもらうように夕方だけの販売に絞りました。

メニューを変えなくても、食べてもらうお客様のシーンを想像しながら調整することでおいしさをお届けすることも可能です。それにより「売れるお弁当」になる可能性もあります。
ぜひお客様の食べるシーンを想像しながらお店で作っているおいしさをお届けできているか確認してみてください。

コンビニエンスストアのお弁当は世界の誇るクオリティだからこそ、外食は「差」が重要。

店舗やレシピ開発の視点から、どんなシチュエーションでも対応できるような、そんなお弁当を作っているコンビニエンスストアの商品開発力はレシピ開発の立ち位置でもいつもすごいと感心しています。
外食店がお弁当を販売する際には、コンビニエンスストアや中食と同じにならないような、特徴を出すことが、重要です。ぜひ「売れるお弁当」を作っておいしさをお届けしましょう。