外資系コンサルやIT企業のキャリアから「食」の世界に飛び込んだきっかけ

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BENTOPRO

私は大学卒業後、新卒で外資系コンサルティング会社のアクセンチュアに入社しました。
その後、IT企業のDeNAを経て、「食の世界で起業した理由」は、日本の食文化を世界に伝えたいという想いからでした。
2010年に株式会社Paysanneを起業し、食の世界に飛び込みました。
起業後は店舗の立ち上げ、タピオカ専門店の運営、自社キッチンスタジオでの料理写真・動画撮影、業務用レシピ開発など、様々な経験を積み、現在はお弁当事業や飲食店経営など、BtoBサービスからBtoCへと軸足を移しています。

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20代の頃は「何か新しいことを仕掛けたい」という強い思いで日々を過ごしていました。
ある時サンフランシスコに出張した際、「なぜ日本で普段食べるような料理が海外では楽しめないのだろう?」という疑問を抱き、それが食の世界への第一歩となりました。

疑問から始まった起業のきっかけ

正直なところ、最初から食の分野で起業を考えていたわけではありませんでした。漠然と起業を意識していましたが、当初の興味はIT分野にあり、アクセンチュアからDeNAへの転職も、IT業界での挑戦を選んだ結果でした。

たまたまDeNA在籍時に食の事業を検討する機会がありました。
海外事業について調査するうちに、
「日本の美味しい食がなぜ海外に広まっていないのか?」
という疑問が強くなり、頭の中を大きく占めるようになりました。
サンフランシスコで感じた疑問が次第に深まり、日常的に考えるようになっていました。

調査を重ねて気づいたのは、「食材」は輸出されていても「食文化」としての伝え方が十分ではないということでした。ここに大きな可能性を感じ、日本の日常的な食卓の素晴らしさを世界に伝えたいという思いが強まりました。

食の事業を検討する中で、この思いを共有できる仲間と出会い、具体的な起業に踏み出しました。今振り返ると、本当に偶然の連続だったように感じます。

会社員時代に感じたこと

アクセンチュアやDeNAでの日々は、新しい挑戦の連続でとても刺激的でした。
そのままキャリアを続けていても充実感は得られたことは間違いないです。
アクセンチュアは世界一のコンサルティング会社となり、DeNAはその後球団を持ち、世の中にインパクトのある事業を次々と発信し続けています。

どちらの会社も素晴らしい人材が多く、卒業後も強い繋がりを持ち続けており、今でも多くの仲間から刺激を受けています。
そんな魅力的な環境でしたが、「日本の食卓を世界に広めたい」という想いが勝り、起業という道を選びました。

実現したかった食の世界への夢

私が食の世界で成し遂げたかったことは、日本の素晴らしい食文化を世界に広げることです。
それは創業時から今まで一貫して変わっていません。
特別な料理だけでなく、日常的な家庭料理を世界中の人にもっと気軽に楽しんでもらいたい。
そんな思いから、まずは行動して、その中で考えを深めるというスタンスで事業を展開してきました。

食の業界で実際に感じたギャップ

創業して16年経った今、実感しているのは、食の業界が「変化の少ない世界」であるということです。
グローバルなコンサルティングやIT業界のスピード感に慣れていた私にとって、最初はこの変化の少なさに物足りなさを感じました。

しかし、食の業界が大きな変化を望んでいるわけではないことに次第に気づきました。
美味しくて安全であればそれで良い、それが食の世界で常に求められるものであり、今後も変わらない部分だと認識しています。

だからこそ、「変化」ではなく、「深く突き詰める」ことに価値を見出すようになり、
現在はおいしさを追求し、お客様に喜んでもらうことを軸にサービスを提供しています。

異業種からの参入が食の事業にもたらした強み

変化が少ない食の業界に異業種から飛び込んだことで、多くの挑戦と失敗を経験しました。
その中から貴重な学びを得ることができました。

アクセンチュア時代に培った問題解決能力や全体を俯瞰する視点、仕事を体系的に組み立てる力、DeNAで身につけたスピード感や突破力は、食の世界においても大いに役立っています。
日々の改善活動や、日々の気づきから新しいチャレンジをすぐに行うことにつながっています。
「食の経験がないと食の事業は難しい」と思われるかもしれません。
しかし、個人的な意見としては、「食の世界の常識は、世の中の非常識」という視点を持ち続けて食の世界に挑むことこそが重要です。

私が在籍した頃よりもアクセンチュアやDeNAは大きく成長し、経歴が一人歩きすることもあります。
「アクセンチュアだったからできるのでは、DeNAだったからできるのでは」とよく言われます。
しかし振り返ってみると、本当に大切なことはその経歴ではなく、自分自身が挑戦し続けるという強い意志だと思います。

食の分野で新しいことに挑戦したいと考えている方は、日常の疑問を形にするだけでも十分なビジネスチャンスになります。BentoPROで発信する内容が少しでも共感や勇気を与えることができれば幸いです。